ラーメン屋の運転資金と固定費の目安

ラーメン屋に限らず、開業したり起業したりするときには、必ずある程度の余剰資金を確保しておく必要があります。

これを「運転資金」と呼び、運転資金が多ければ多いほど、店の寿命が延びるといわれているのです。

しかし、どんな人であっても無限にお金があるわけではありません。

自分の事業計画と余剰資金とを確認しながらどのタイミングで起業するかを悩むのが一般的でしょう。

今回は、開業準備としての運転資金について注目してみます。

今まではサラリーマンや雇われの仕事をしてきた人にとっては、まさに経営が始まる瞬間、開業準備開始!ということが出来るかもしれません。

■運転資金は6ヶ月分?

まずは、運転資金が一般的にどのくらい必要といわれているかどうかについてみていきましょう。

よくある議論としては3~6か月の運転資金があれば十分といわれています。

いったいどういうことなのでしょうか。

なぜ開店前の運転資金は固定費の6ヶ月分必用なのか?

運転資金・余剰資金がなぜ必要なのか?と考える人もいるでしょうが、常識的に考えて、開店した次の日から繁盛店になるといったことはあり得ないでしょう。

つまり、経営的にある程度軌道になるまで、必ず赤字になるということです。

飲食店は特にこの傾向が強く、まずは一人二人とお客さんを増やしていき、徐々に常連さんが増えていきます。

また、地域内でうわさや口コミが広まり、お客さんがお客さんを生むというループを作っていくのが一般的でしょう。

この良いループが出来上がるまでに、お店をつぶしてしまったら意味がありません。

このループを生み出すためにお店は、たとえ赤字でも続けていく必要があるのです。

ラーメン屋に限らずすべての飲食店開業に言えることですが、準備と計画が大事。

設備投資や内装費などとは別に、家賃や仕入代、自分の生きるためのお金などを作っておかなければ非常に危険なのです。

また、計画がしっかりしてなければ、家賃や仕入代を計算することもできません。

準備や計画が大事なことがわかっていただけると思います。

開業した6割の飲食店が軌道に乗せるために半年超かかっている

日本政策金融公庫は「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」という冊子を発行しています。

これの「生活衛生関係営業の景気動向等調査(2013年4~6月期)特別調査結果」というデータによると、予想売上達成率は38.8%。

つまり、6割以上が計画通りの売上を立てれていないということになります。

さらに、「開業後についての調査結果」によると、軌道に乗り始めた時期というのは6ヶ月~1年以内が最も多く28.2%、続いて3ヶ月以内が26.1%です。

1年以上について、軌道に乗らなかった場合、基本的にお店を畳む方向で考えますので、それ以降に軌道に乗ったというお店については、運転資金がしっかりしていたり出資者の中にエンジェルがいたりした可能性があるため、あまり一般的に見ることはできません。

3ヶ月~6ヶ月は10.1%ということですので、ある程度うまくいっているお店でも、6か月以上かかったお店が4割以上あるということになります。

また、「開業時に注意しておけばよかったと感じること」においては、顧客調査や物件選定、あるいはメニューや広告などお店を進めていくうえで非常に重要なことを差し置いて「自己資金が不足していた」がトップになっています。

物件選定や借入金の問題などを合わせると、お金関係の問題はだいたい50%ぐらいの人たちが悩んでいることがわかる調査です。

基本的にこういった調査は、継続しなかった企業やお店が含まれていないため、現実はもっと厳しいと考えるべきでしょう。

お店の売上がある程度軌道に乗るまでに、だいたい6割以上が半年以上かかっているということになります。

運転資金の計画は必ず事前の想定と誤差が出る

経営は計画を練る必要があります。

しかし、多くの場合、計画通りにいくということはあり得ません。

何かしらのトラブルに見舞われることになるのです。

経営には人・もの・金という資源をいかに効率よく活用していくかということが重要ですが、一方でこの3つの点は経営を行っていくうえではトラブルの元にもなりえます。

つまり、計画通りにいかないのでそのバッファ(≒遊び)を作るためにも、余裕のある運転資金を用意しなければならないといえるでしょう。

また、計画通りにお客さんが入らないということであれば、広告費が必要になったり、看板を変えるための外装費がかかったりと様々なチャレンジをしていく必要があります。

うまくいかないのであれば、うまくいくように変化させる。

聞くと当たり前ですが、先立つものすなわち費用が必ず必要になります。

うまくいかないことを始める前から考えておくのは不吉と嫌がる人もいますが、経営はリスクをコントロールする必要があります。

うまくいっている場合のプランと同様に、うまくいっていないプランを同時に考えて行動することで、リスクテイキングになるのは間違いありません。

つまり、事前の想定と誤差が出ることを前提に資金計画を立てなければならないのです。

■固定費を考える

それでは、運転資金の計画を立てるためにも、どのようなことを固定費として考えるべきかを見ていきましょう。

必要な項目は「自分の生活費」「仕入資金」「家賃」「その他(予備費)」です。

・自分の生活費

自分の生活費をどのくらい入れるのかは、自分の生活スタイルや経営スタイルにかかわる重要なことです。

しかし、独立を考える人の中には、生活をできる限り切り詰めてお金も時間も使えるリソースはすべて経営につぎ込むべきだと考えている人も多いですが、これは考え物です。

経営者として、最も重要なことは、適切なタイミングで適切な決断をしていくことでしょう。

これが経営者としての仕事です。

この適切な決断をするために、何が必要なのかを考える必要があります。

もしかしたら、おいしい食事が必要な人もいるでしょうし、あるいは美術館などのアートに触れたい人、または散歩しながらコーヒーを飲むことで適切な決断が出来るようになる人もいます。

大事なことは、経営者は生活スタイルでもあるということを頭に入れておくことです。

つまり、自分の生活にゆとりを作っておくことで、良い経営が出来る可能性があるといえるでしょう。

半年分なので、例えば月に25万円であれば、25万円×6か月分=150万円ほどを計上する必要があります。

・仕入資金

ラーメン屋に限らず、全ての商売には仕入れが発生します。

この仕入がない場合は、売るものがないので売り上げが立たないことになってしまいます。

仕入資金は、自分が提供したいメニューや最初に投入する設備によっても異なるでしょう。

例えば、製麺機を導入するのであれば、小麦や水だけでも十分に麺が作れるため、この場合、仕入資金は少なくなります。

また、ラーメン屋であれば、最も原価が高い傾向にあるのは味噌ラーメン。

これは、味噌ラーメンは麺以外の食材をよく使うため材料費が増えるのです。

仕入資金と一緒に考えておきたいのが、破棄率。

食材破棄は、完全な赤字であるため積極的に対策を考えるべきでしょう。

この破棄率が高ければ高いほど、仕入資金に跳ね返ってきます。

最初のうちはメニューを絞り込むなどの工夫が必要です。

ここでも、半年分考えるので、原価率30%ラーメン1杯700円とすると1杯210円の原価、つまり仕入がかかります。

月に500杯、週休1日で1日25杯出したと仮定しても、10万円を超える計算になるでしょう。

半年分の仕入れとしてはそれよりも多い100万円程度を想定しておくとよさそうです。

・家賃

頭が痛いのが家賃です。

良い物件、収益が上がりそうな物件であれば家賃が高くなる傾向にあります。

しかし、それも予測であるため本当にその家賃分の効果があるかわからないのです。

また、必ずかかるお金であり、一度計算すると運営中に削減していくことも難しいという特徴もあります。

さらに保証金などを鑑みると悩みは増えます。

運よく居抜き物件などが手に入れば、物件取得費も非常に抑えることが出来ますが、これはまさに時の運。

とりあえず、月々30万円と置いてみると、6ヶ月で180万円です。

ただ、これは本当に自分が作った事業計画書と相談していることをお勧めします。

どういったラーメン屋がやりたいのか、どういったラーメンを出したいのかによって、最適な物件というのは変わってくるためです。

・その他(予備費)

その他の経費としてよく挙げられるのは広告宣伝費です。

できる限り自分で行って減らしていきたいところですが、それでも最低資金は必要になります。

加えて、計画に合わなければ合わないほど必要となるお金というのも悩ませてくれるでしょう。

どこまで用意しておくかは自分のお財布と相談してください。

また、忘れがちな電気代やガス代といった光熱費も考えておくといいかもしれません。

■まとめ 運営していくために必要なお金は?

自分の生活費と仕入資金、そして家賃に加えその他予備費を勘案すると、だいたい450万円~500万円程度あれば、仮に売り上げが0でも半年ぐらいなら頑張れることがわかりました。

当然この資金は自分の工夫次第で大きくも小さくも出来るでしょう。

また、最初からアルバイトなどを雇うと決めている場合は、人件費という項目が増えさらに大きくなります。

さらに今回は半年と決めましたが、圧倒的な自信があるのであれば3ヶ月でいいという考え方もあるでしょう。

何がいいかということを決断するのが経営者の仕事です。

ぜひ、自分の理想とするお店を実現するために決断してみてください。

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